相続税を負担した場合に利用できる「取得費加算の特例」とは?

2023-04-11

相続税を負担した場合に利用できる「取得費加算の特例」とは?

相続した不動産を売却した場合、一定の条件を満たせば、税金の負担を軽減できる「取得費加算の特例」という制度を利用できます。
今回は、「取得費加算の特例」の概要や適用できないケースなどについて解説します。
大阪府池田市、豊中市、箕面市や兵庫県川西市、宝塚市、西宮市、伊丹市エリアで相続を控えている方は、税金対策としてぜひ参考にしてみてください。

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相続税を負担した場合に利用できる「取得費加算の特例」とは

相続税を負担した場合に利用できる「取得費加算の特例」とは

不動産を相続すると、相続税が発生します。
さらにその不動産を売却して譲渡所得(利益)を得ると、その金額に対して所得税や住民税が課されるため、税金の負担が大きくなります。
そこでぜひ知っておきたいのが、税金の負担を軽減できる「取得費加算の特例」です。
取得費加算の特例とはどのような制度なのか、概要や要件、適用される場合の計算式について具体的に解説していきますので、ぜひ積極的に利用することを検討しましょう。

取得費加算の特例の概要とは

取得費加算の特例とは、相続や遺贈で取得した土地や建物といった不動産を譲渡した場合、譲渡所得を算出する際の取得費に、相続時に納めた相続税額のうちの一定金額を加算できる制度です。
譲渡所得とは、不動産売却によって得た利益のことで、以下のような計算式で算出します。
譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
譲渡価額とは不動産の売却価格、取得費とは不動産購入時にかかった費用、譲渡費用とは不動産売却時にかかった費用のことです。
譲渡所得は、不動産の売却金から取得費と譲渡費用を差し引いて残った利益を指し、この利益に対して所得税や住民税が課されます。
取得費加算の特例を利用すると、相続税額の一部が取得費に加算されるため、差し引ける経費が増えることになります。
経費が増えれば譲渡所得が少なくなるため、結果、税金の負担を軽減できるのです。

取得費加算の特例を受けるために満たすべき要件

取得費加算の特例を受けるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 相続や遺贈によって財産を取得した方
  • 相続時に相続税を納めた方
  • 相続した財産を相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却した

上記の3つの要件をすべて満たさなければ、取得費加算の特例を受けることはできません。
なお、特例を受けるためには確定申告が必要です。

取得費に加算できる相続税額

取得費に加算できる相続税額は、以下の計算式で算出できます。
相続税額×売却した不動産の譲渡価格÷すべての相続財産の課税価格
たとえば、課税価格の総額が1億円の財産を相続し、納めた相続税が1,200万円だったとします。
1億円の財産のうち不動産を6,000万円で売却した場合、その不動産の取得費に加算できる相続税額は以下のとおりです。
1,200万円×6,000万円÷1億円=720万円
不動産が高く売れれば、それだけ取得費に加算できる相続税額も増えることになります。

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相続税の取得費加算の特例が適用できないケース

相続税の取得費加算の特例が適用できないケース

取得費加算の特例が適用されると、不動産売却時の譲渡所得に課される税金を抑えられることを前章でご説明しましたが、以下のように適用できないケースもあります。

親から不動産を贈与された場合

不動産を引き継ぐ方法として、相続や遺贈以外に、贈与があります。
贈与と遺贈は、同じ「贈る」という文字を使う言葉であるため、なにが違うのかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、「相続」「遺贈」「贈与」の言葉の意味を確認してみましょう。

  • 相続…亡くなった方の財産を法定相続人が引き継ぐこと
  • 遺贈…遺言によって特定の誰かに財産を引き継がせること
  • 贈与…財産を無償で贈る意思を示し、相手側が承諾することによって成立する契約行為

上記の3つのうち、「相続」と「遺贈」で財産が引き継がれるのは、財産を所有している方が亡くなったときです。
しかし「贈与」は、財産の所有者が存命中におこなわれる行為であり、相続税の課税対象ではありません。
取得費加算の特例を利用して、譲渡所得を算出するための取得費に加算できるのは、あくまで納めた相続税額の一部です。
したがって、相続関係である方のあいだであっても、贈与された財産については取得費加算の特例を適用できません。
ただし、贈与であっても以下のような制度に適用される場合は例外です。
相続時精算課税制度
生前に2,500万円を上限とする贈与を受けた場合の贈与税を先送りし、相続が発生した際に相続財産とともに贈与分も一緒に相続税として課税する制度です。
この制度を利用した場合は、相続税が発生するため、取得費加算の特例を適用できます。
相続開始前3年以内の贈与加算制度
贈与を受けてから3年以内に親が亡くなった場合、贈与はなかったものとして相続税が課される制度です。
この場合、贈与を受けたときに納めた贈与税を差し引いて、相続税が計算され、その相続税に対して取得費加算の特例が適用できます。

夫婦間での相続の場合

夫婦間で相続財産を取得した場合、配偶者に対しては税額が軽減されるため、相続税が発生しないケースが少なくありません。
取得費加算の特例は、納めた相続税額を取得費に加算できる制度であるため、夫婦間で相続税が発生しないケースでは、この特例は適用できないのです。

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相続税の取得費加算の特例と併用できる税制

相続税の取得費加算の特例と併用できる税制

譲渡所得にかかる所得税や住民税には、その負担を軽減する特例が設けられています。
しかし、取得費加算の特例と併用できるものと併用できないものがあるため注意が必要です。
取得費加算の特例と併用できる税制は、以下の3つです。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円までの控除を受けられる制度です。
譲渡所得が3,000万円未満であれば、この特例だけで譲渡所得をゼロにすることができます。
同じ3,000万円の控除を受けられる「空き家の3000万円特別控除」という特例がありますが、これは取得費加算の特例と併用できません。

特定のマイホームを買い換えたときの特例

所有期間、居住期間ともに10年を超え、売却した年の前年から翌年までの3年のあいだにマイホームを買い換えた場合、譲渡所得税を将来に繰り延べることができます。
あくまで課税を先送りするということで、非課税になるわけではなく、買い換えたマイホームを将来売却する際に、譲渡所得税が課されます。
取得費加算の特例と併用できますが、この買い替えの特例を利用する際は、売却代金が1億円以下であることや、3,000万円の特別控除の特例を受けていないことなどの要件を満たす必要があります。

相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

相続や遺贈によって取得した財産のうち、相続人が相続開始の直前まで事業用または居住用に使用していた宅地などについて、一定の面積まで相続税の課税価格を減額できる特例です。
この小規模宅地等の特例を利用した土地を売却した場合でも、取得費加算の特例を受けることが可能です。
ただし、取得費加算の特例を利用する場合は、小規模宅地等の特例を利用したあとの金額を基準に計算されます。
このように、特例を併用することで大幅に税金を抑えられる可能性があります。
なお、控除制度については上記のほかにも細かく要件が設けられているため、詳細は国税庁のホームページでご確認ください。

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まとめ

相続や遺贈によって取得した不動産を売却する際、相続税の取得費加算の特例を利用すると、所得税や住民税の負担を軽減できます。
「北摂不動産.com」では、相続した不動産を売却する際の税金対策についても親身にサポートいたします。
大阪府池田市、豊中市、箕面市や兵庫県川西市、宝塚市、西宮市、伊丹市エリアで相続を控えている方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

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