2023-09-19
住宅ローンが残っている不動産の売却で、売却代金で完済できない場合の選択肢として、任意売却をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
任意売却をおこなう場合、住宅ローン以外に債務があると「ハンコ代」が発生することがあるため注意が必要です。
そこで今回は、任意売却をおこなう際のハンコ代とはなにか、相場や発生するケースについて解説します。
大阪府池田市、豊中市、箕面市や兵庫県川西市、宝塚市、西宮市、伊丹市エリアで任意売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ハンコ代について解説する前に、まずは任意売却の概要について確認しておきましょう。
住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、その不動産には金融機関が「抵当権」を設定します。
抵当権とは、いわば担保のことで、残債を完済することで抹消できます。
この抵当権を抹消できなければ、不動産を売却することはできません。
不動産の売却代金で残債を完済できる「アンダーローン」であれば、決済と同時に抵当権を抹消できるため、問題なく売却できます。
しかし売却代金を返済に充てても債務が残る「オーバーローン」の場合は、抵当権を抹消できないため、通常の方法では売却を進められません。
そのような場合の対策として、「任意売却」という方法があります。
任意売却は債権者の同意が必要
任意売却は、金融機関の同意を得て抵当権を外してもらうことで可能になります。
その際には、債権者のハンコを押した書類を法務局に提出し、登記簿謄本に記載された抵当権の部分を抹消する手続きをしなければなりません。
複数の債権者がいる場合は、すべての債権者のハンコが必要です。
任意売却時に発生するハンコ代とは、抵当権を抹消する手続きの際に提出する書類にハンコを押してもらうために支払うお金です。
ではなぜハンコ代を支払うのか、これには抵当権の順位が関係しています。
抵当権の順位は登記順に決まる
抵当権は、登記をおこなった順に債権回収の優先順位が決まります。
たとえば住宅ローンを組んで不動産を購入した場合、融資をした金融機関が最初に抵当権を設定するため、第一位抵当権者として登記簿に記録されます。
その不動産を担保にほかの融資を受けた場合、2番目の債権者は第二位抵当権者、3番目は第三位抵当権者といったように順位が決まるのです。
任意売却は、売却代金で完済できない場合の売却方法であるため、第一位抵当権者の債権すべてを回収できないことがほとんどです。
債権は基本的に第一位抵当権者から回収するため、不動産を売却しても、後順位抵当権者は1円も回収できないこともよくあります。
そうなると、後順位抵当権者は抵当権を抹消するための書類にハンコを押すメリットがなにもありません。
しかし任意売却をするためには、債権者全員のハンコが必要です。
そこで抵当権を抹消するために「ハンコ代」を支払って、後順位債権者に協力してもらうのです。
そのような目的のために支払うお金ということで、後順位抵当権者に担保を解除してもらうための「担保解除料」とも呼ばれています。
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次にハンコ代の相場について解説します。
先述のとおり、ハンコ代は複数の債権者が抵当権を設定している不動産を売却する際、後順位抵当権者に抵当権を抹消してもらうために生じるお金です。
ところが、任意売却の際に支払うハンコ代に規定はありません。
つまりハンコ代に相場はないといえるのです。
規定がないことによってトラブルが起こるケースもあります。
ハンコ代に相場はないものの、トラブルを防止するために、「住宅金融支援機構」だけは基準を定めており、ほかの金融機関もその基準を参考にしています。
住宅金融支援機構が定める基準は、以下のとおりです。
上記からわかるように、抵当権者の順位が高いほうがハンコ代も高くなります。
住宅金融支援機構が定める基準では、30万円が限度になっています。
たとえば1億円の物件であっても、ハンコ代として支払うのは最大30万円だということです。
しかしこのハンコ代に対して「もっと多く支払ってほしい」と値上げを要求する債権者もなかにはいます。
なぜなら、競売になれば債権の回収に関するルールが定められていますが、任意売却にはその規定がないからです。
その場合、売主個人で対応するのは困難です。
ハンコ代の件でトラブルになると、金銭的にも精神的にも大きな負担になります。
したがって債権者が複数いる状態で任意売却をおこないたい場合は、弊社がお力になりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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任意売却時のハンコ代について解説してきましたが、ハンコ代は任意売却をおこなうとかならず発生するものではありません。
そこで最後に、任意売却をおこなう際にハンコ代がかかる場合とかからない場合について解説します。
ハンコ代がかかるのは、複数の債権者がいる場合です。
任意売却は、すべての債権者が同意しなければできません。
したがって、第一位抵当権者以外の債権者の同意を得るために、前章で解説したような配分でハンコ代を支払うのが一般的です。
債務は住宅ローンのみ、つまり債権者が1人のときは、その債権者のハンコだけで抵当権を抹消できます。
任意売却をおこなうために同意を得なければならない債権者がほかにいないため、ハンコ代は生じません。
また債務の合計額以上の金額で売却できる場合も、ハンコ代は不要です。
たとえば第一位抵当権者の債権額が1,000万円、第二位抵当権者の債権額が500万円、第三位抵当権の債権額が300万円だったとします。
この場合、債務の合計額は1,800万円ですが、任意売却によって1,800万円で売却できれば、それぞれの債権者に返済できます。
このようなケースでは、ハンコ代は発生しません。
しかし任意売却は、住宅ローンの返済ができず、売却代金より残債額のほうが多い場合におこなう売却方法です。
つまり売却代金が、第一位抵当権者の債権額にも満たないケースが多く、債務の合計額以上の金額で不動産を売却できるケースはまずないと考えておかなければなりません。
このように、複数の債権者がいる状態で任意売却をおこなう場合は、ハンコ代が生じることを想定しておく必要があります。
債権者が多ければ多いほど負担も大きくなります。
したがって、ハンコ代として支払う費用を抑えるためにも、債権者の数を減らすこと、ローンを少しでも返済することが大切です。
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任意売却をおこなう際には、債権者が1人であればその債権者の同意を得たうえで売却を進められます。
しかし債権者が複数いる場合は、すべての債権者の同意を得るためのハンコ代が必要になるため、債権者としっかり話し合い、円滑に任意売却を進めることを目指しましょう。
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