不動産の短期譲渡所得とは?計算方法や適用される控除制度について解説

2024-08-06

不動産の短期譲渡所得とは?計算方法や適用される控除制度について解説

不動産を売却した際には、「譲渡所得税」が課される場合があります。
譲渡所得税の課税対象となる所得は、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」に分けられ、税率が異なるため、不動産を売却するタイミングを見極める参考にしましょう。
そこで今回は、不動産の短期譲渡所得とはなにか、計算方法や税金を軽減できる控除制度について解説します。

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不動産の短期譲渡所得とは

不動産の短期譲渡所得とは

不動産を売却した際には、「譲渡所得」に対して、税金が課されます。
冒頭でもお伝えしましたが、譲渡所得は、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2種類に区別されます。
不動産をはじめて売却する場合、この「譲渡所得」がなにを指すものなのかわからない方もいらっしゃるでしょう。
そこでまずは、そもそも譲渡所得とはなにか、といった基礎知識から解説します。

譲渡所得とは

譲渡所得とは、不動産を売却した金額から、取得や譲渡にかかった費用を差し引き、最終的に手元に残った利益のことです。
そして、譲渡所得額に応じて、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課されます。
この3つの税金を総じて「譲渡所得税」といい、給与所得などとは異なる方法で税金を計算する「分離課税」です。
分離課税とは
サラリーマンの給与所得や、事業者の事業所得は、所得金額を合計して所得税額を計算する「総合課税」の対象です。
総合課税は、所得の合計金額から所得控除の合計額を差し引き、その残額に税率を乗じて税額を計算します。
分離課税とは、その所得のみに税率を乗じて計算する方法です。
たとえば、不動産や株の譲渡所得、山林所得、退職所得などが該当します。

不動産の譲渡所得は2つに区分される

譲渡所得税は、譲渡所得に対し、定められた税率を乗じて計算します。
そして、その税率は、不動産の所有期間によって異なります。
譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」に分類され、税率は以下のとおりです。

  • 短期譲渡所得:39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
  • 長期譲渡所得:20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
上記からわかるように、「短期譲渡所得」の税率は「長期譲渡所得」の約2倍です。
所有期間が5年以内に不動産を売却した場合、5年を超えてから売却した場合より、税金の負担が約2倍になります。
したがって、5年近く所有している不動産を売却するのであれば、5年を超えてから売却したほうが税金を軽減できるのです。

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短期譲渡所得にかかる税額を計算する方法とは

短期譲渡所得にかかる税額を計算する方法とは

不動産の譲渡所得には「譲渡所得税」が課されることを前章で解説しましたが、譲渡所得税は不動産売却時に発生する税金のなかでも高額になりやすい税金です。
売却後に大きな出費となって慌てないように、どれぐらいの税額になるのかを事前に把握しておくと安心です。
そこで次に、短期譲渡所得にかかる譲渡所得税の計算方法について解説します。
譲渡所得税は、以下のような手順で計算します。

  • 手順1:譲渡所得を算出する
  • 手順2:特別控除額を差し引く
  • 手順3:税率をかける
それぞれの手順について、順番に解説します。

手順1:譲渡所得を算出する

譲渡所得は、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=売却金額-取得費-譲渡費用
譲渡所得とは、先述のとおり、不動産の売却金額から経費を差し引いて残った利益のことです。
取得費とは、不動産の購入代金や購入時にかかった諸費用など、売却する不動産を購入する際に支払った費用の合計です。
なお、建物については年数の経過とともに価値が下がるため、購入時の価格ではなく「減価償却費」を差し引いた金額を取得費として計上します。
譲渡費用とは、不動産を売却するために支払った費用のことです。

手順2:特別控除額を差し引く

譲渡所得税の負担を軽減するために、いくつか控除制度が設けられています。
控除制度を利用する場合は、手順1で算出した譲渡所得から、控除額を差し引きます。
課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除額
この計算の結果がプラスになった場合に、譲渡所得税が発生します。

手順3:税率を乗じる

手順2で算出した課税譲渡所得に対し、前章で解説した短期譲渡所得の税率を乗じることで、譲渡所得税の税額が算出できます。
たとえば、不動産の所有期間が5年以下で、課税譲渡所得が1,000万円だった場合の税額は、以下のとおりです。

  • 所得税(30%):300万円
  • 復興特別所得税(0.63%):6万3,000円
  • 住民税(9%):90万円
譲渡所得税は、上記3つの税金の総称です。
したがって、この場合の譲渡所得税は、396万3,000円と計算できます。

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短期譲渡所得で利用できる控除制度とは

短期譲渡所得で利用できる控除制度とは

譲渡所得税は高額になりやすいですが、特別控除制度を利用すれば、譲渡所得を抑えられるため、大幅な節税が可能になります。
税金を抑えるために、どのような特別控除制度を利用できるのか、事前に知っておくことが大切です。
そこで最後に、短期譲渡所得で利用できる特別控除制度について解説します。

収用等により土地建物を売ったときの特例

土地や建物を公共事業のために売った場合に適用される特例で、譲渡所得から最高 5,000万円までの控除を受けられます。
この特例を利用するためには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 販売目的に所有している不動産ではなく固定資産であること
  • 買取などの申し出があった日から6か月を経過した日までに売却していること
  • 買取などの申し出を受けた方が売主となって売却していること
なお、売主については、申し出を受けた方が亡くなり、相続または遺贈によってその不動産を取得した方も含みます。

特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例

特定土地区画整理事業とは、国や地方自治体などが市街地の区画を整理し、整然とした新たな市街地をつくるために大都市地域でおこなっている土地区画整理事業のことです。
その事業のために土地を売却した場合、譲渡所得から2,000万円の控除を受けられます。
この特例は、施行者が国や地方自治体、地方住宅供給公社などであり、事業のために不動産を買い取った場合に適用されます。
なお、対象となる土地は30ha以上です。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売却した際の譲渡所得から、最高3,000万円の控除を受けられる制度です。
この特例は、不動産の所有期間に関係なく利用できます。
先述のとおり、譲渡所得とは、不動産を売却して得た「利益」です。
売却価格から取得費や譲渡費用といった経費を指し引いたあと、さらに3,000万円の控除を受けられるため、一般的な住宅であれば、譲渡所得がゼロ以下になるケースがほとんどです。
短期譲渡所得の場合は税率が高いため、積極的に控除制度を利用して、譲渡所得を抑えることをおすすめします。
なお、控除制度は併用できるものもありますが、控除額の上限はその年の譲渡益を合計して5,000万円までです。
また、控除制度を利用する場合は、確定申告が必要です。
譲渡所得額がゼロになり、税金が発生しない場合でも申告しなければ適用できません。
したがって、売却した翌年の確定申告に時期に、忘れずに手続きしてください。

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まとめ

不動産の売却によって得た譲渡所得(利益)には、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」に分けられ、税率が高く設定されています。
譲渡所得税は高額になりやすいため、積極的に控除制度を利用して、税金を抑えることを検討しましょう。
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