2025-10-07

複数人での共有状態にある不動産は、共有者による共有物分割請求訴訟で、共有状態を解消できる可能性があります。
ただし、共有物分割訴訟請求には、メリットもあればデメリットもあるため、注意が必要です。
今回は、共有物分割請求訴訟とは何か、共有物分割請求訴訟のメリットやデメリットについてご紹介します。
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共有物分割請求訴訟とは、不動産の共有状態を解消するための裁判を要求する訴訟のことです。
そもそも、不動産の共有状態とは、複数人の方が同じ不動産の名義人として、登記されている状態のことを指します。
不動産の取得時に出資した金額などに応じた割合の所有権を、それぞれが所有している状態です。
共有状態にある不動産は、1人の共有者だけの判断で好きにはできません。
とくに不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要になります。
そのため、この共有状態を解消するためにおこなわれるのが、共有物分割請求訴訟です。
不動産の共有状態を解消するために、最初から訴訟をおこなうのは望ましくありません。
訴訟は時間もお金もかかり、ほかの共有者との関係も悪化するため、まずは話し合いによって円満に解消を試みる方が多いでしょう。
しかし、共有状態を解消したくない方がいたり、解消の方法で揉めたりすると、円満に解消することは難しくなります。
そのようなときに裁判所に合理的な裁定を仰ぎ、共有状態をどのように解消するかを決めてもらうのが、共有物分割請求訴訟です。
したがって、一般的な裁判のように、二者間の争いに勝敗をつける性質のものではありません。
分割の方法として提示されるのは、一度不動産を売却して代金を分け合う換価分割、不動産を持分に応じて分筆する現物分割、共有持分を1人に集めて代償金を支払う代償分割の3つです。
共有物分割請求訴訟の代表的なケースは、相続により、複数人で所有することになった不動産における共有状態の解消です。
実家をきょうだいで相続したとき、1人がこの家を建て替えたいと思っても、ほかのきょうだいが拒否すると建て替えられなくなります。
また、売却したいきょうだいがいても、ほかのきょうだいの同意が得られなければ売却できません。
ほかにも、相続した実家に住んでいるのが1人だけだったとしても、共有状態であれば、共有者全員が税金や管理に関する負担を負います。
そのため、共有状態を解消して不動産を好きに活用したり、責任を負わなくて済むようにしたりするために、共有物分割請求訴訟がおこなわれるのです。
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共有物分割請求訴訟には、お金や手間がかかりますが、共有状態を解消できること以外にもメリットがあります。
共有状態の解消について当事者間で話し合うと、互いの利益によって争いになりやすいですが、第三者として裁判所を挟めるのです。
共有物分割請求訴訟のメリットは、裁判所に不動産の分割に関する判断を委ねられることです。
訴訟に至るまでの過程では、共有者同士の話し合いがおこなわれていることが多いでしょう。
しかし、それぞれの共有者の主張がぶつかり、争いになるとそのまま平行線になってしまい、決着がつかなくなる可能性があります。
そのようなときに、冷静な第三者である裁判所に判断を委ね、法律に基づく判決を出してもらえるのが共有物分割請求訴訟です。
当事者間で争っている間は受け入れられないことでも、あらためて裁判所に言われると受け入れられる可能性があります。
共有物分割請求訴訟のメリットは、支払われる代償金の価格が公平になることです。
共有状態を解消するために代償分割を選択すると、今度は代償金の金額で揉めることがあります。
ほかの方の共有持分を集めて代償金を支払う方は、その金額を抑えたいと考え、受け取る側はその金額を高くしたいと考えるためです。
共有物分割請求訴訟であれば、裁判所指定の不動産鑑定士によって不動産の価値が算出され、それに基づいて公平な代償金が決まります。
したがって、代償金を支払う方も受け取る方も、どちらも納得しやすいです。
共有物分割請求訴訟のメリットは、公平な遺産分割ができる可能性があることです。
どのような方法で不動産を分割するか、どの価格に基づくかを裁判所が決定します。
そのため、誰か1人が得をするような形ではなく、それぞれの権利に応じて公平な分け方ができる可能性が高いです。
共有物分割請求訴訟のメリットは、ほかの共有者の同意がなくても、単独でおこなえることです。
そのため、共有状態を解消したい共有者が裁判所に訴えを起こせば、共有状態を解消できます。
公平に分割の方法を決定してもらい、共有状態を解消できるのがメリットです。
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共有物分割請求訴訟にはメリットがあるものの、デメリットも存在します。
そのため、訴訟を起こす前には、本当に今訴訟を起こす必要があるかをしっかり検討する必要があるでしょう。
共有物分割請求訴訟のデメリットは、訴訟に時間も手間もかかることです。
第1審の判決が出るまでに、訴えの提起から1年半ほどは時間がかかってしまいます。
判決を不服とする共有者がいれば、控訴審や上告審もあり、数年以上の時間がかかることもあるでしょう。
裁判のための拘束時間や精神的な負担、手間がかかる点に注意が必要です。
また、時間だけでなく、裁判のためのお金がかかるデメリットも存在します。
弁護士費用や裁判費用などを合わせると、100万円以上の費用がかかるでしょう。
そのため、共有物分割請求訴訟の結果得られるであろう利益と、分割せず自分が所有している持分のみを売却して得られる利益については、よく考える必要があります。
共有物分割請求訴訟のデメリットは、訴えを起こした方の希望どおりの判決が出るとは限らないことです。
裁判の結果、どのように不動産を分割するかについては、裁判官の裁量で決定されます。
そのため、公平には分割されるものの、訴えを起こした方の希望に沿った判決が出るわけではないのです。
現物分割によって、分筆した土地を取得したいと考えても、換価分割や代償分割になってしまう可能性があります。
また、訴訟を起こしたことから、ほかの共有者との関係が険悪になり、望む形での解決が図れない可能性が高いです。
共有物分割請求訴訟のデメリットは、競売になると、不動産の売却価格が低くなる可能性があることです。
裁判の結果、不動産を売却して現金を分け合う換価分割をおこなうよう、言い渡されることもあります。
しかし、換価分割でとられる売却手段は競売であり、競売では一般的な売却における相場価格よりも、低い金額になる可能性が高いです。
そのため、想定していたほどの利益を得られない可能性がある点に、注意したほうが良いでしょう。
競売によって落札されるときの価格相場は、一般的な売却における価格の7割程度が目安です。
その金額をさらに共有者の持分に応じて分けることになるため、自分の持分をそのまま売却したほうが高くなることもあるでしょう。
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共有物分割請求訴訟は、不動産の共有状態を解消するための裁判を求める訴訟です。
裁判所の判断で合理的かつ公平に不動産を分割でき、確実に共有状態を解消できるメリットが存在します。
一方で、必ずしも希望どおりの判決になるわけではなく、時間や金銭の面で損をする可能性もあるのがデメリットです。
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